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『吸血鬼のおしごと⑥ The Style of Association』感想

吸血鬼のおしごと〈6〉The Style of Association (電撃文庫 (0861))吸血鬼のおしごと〈6〉The Style of Association (電撃文庫 (0861))
(2003/11)
鈴木 鈴

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大好きだよ、月島さん――。

発売日に店頭で見たとき、この帯の煽り文を見て、凄く嫌な予感がしました……。
私でなくてもそう思うでしょうし、切実に期待したミスリードでもありませんでした。
つまり、ネタバレもいいところなんですが――それでも、「これしかないよなぁ……」と納得しています。

攫われたレレナを取り戻すため、『組織』の本部に突入する亮史たち。
もはやほのぼのコメディの面影は皆無、ひたすら切迫したシリアスな戦闘が続きます。
ですが、そんな盛り上がるクライマックスの展開さえただの容器に過ぎないほどに、
この巻は徹底して、「雪村舞の最後」を描いた巻です。……いえ、別に私にとっては、とうことでなく。(多分)

「あからさまにスポットライトが当たるのは死亡フラグ」とは言いますが、
冒頭からもう大活躍で、亮史ともたびたびイイ雰囲気になり、持ち上げるだけ持ち上げて、という。
ある意味ではお約束的な手法ではあるんですが、とても丁寧に扱われていて、
この巻を持って本作のヒロインは彼女ただ一人に決定したと言えるでしょう。

苦手な人はきっと眼を背けたくなるほどにヤンデレだった舞ですが、
正に「一周回って」といった感じで、この巻では完全に聖女と化しています。
いや、「完全に」ではないですね。嫉妬でモノスゴイ顔になってるシーンとかありますし(笑)。

そして舞の消滅へと至る一連の展開・心理描写は憎いほど素晴らしく、大好きで、何度も読み返しました。
自分の死を覚悟して、彼女が抱きしめた想い、

雪村舞は、月島亮史のことが、大好きだということ。

という一文は、これまで彼女の汚い部分、醜い部分もちゃんと描写してきたからこそ。
とてもとても綺麗なものとして、すとんと胸に落ちてきます。


一方で、彼女と対を成すもう一人のヒロイン・上弦は、清々しいほどヤンデレ一直線です。
亮史と決別した現実に目を背けて、彼との逢瀬に胸をときめかせ、
恋する少女のように身嗜みを気にしているところとか、本当に病んでます(笑)。

前巻までは同じヤンデレだった二人が、どうしてこうも違ってしまったのか。
それは前回の記事で、「殺してでも欲しい」か「君のためなら死ねる」であってこそ愛、と書きましたが、
上弦は「殺してでも欲しい」で、舞は「君のためなら死ねる」だったからでしょうね。

ちなみに、五巻のあとがきで「もう四巻以上のエロはない」と書かれていましたが、
確かに四巻ほどではないかもしれませんが、上弦様は今回も思いっきりエロいです!
衆人環視の中で亮史の唇を貪りながら「卑猥な感覚」を胸に覚え、
「唾液を悦んで嚥下」したりだの、「腰を魎月に押しつけ」たりだの、ヤリたい放題。
ドロドロした女の情念とか、非常すぎる合理性や身も蓋も無いニヒリズムもですが、
単純に性的な意味でも、この作品、多感な中高生に読ませていいんですかね?(笑)


さて、いよいよ次で最終巻です。
五巻の終盤でその兆候はありましたが、舞の死によってついに「人間的な感情」が芽生えた月島亮史。
人間の心に目覚めた化け物というモチーフ、そしてそこから生まれるテーゼは古今、
盛んに用いられてきた王道ともいえるものです。そこに、どんな独自性を持たせるか?
『吸血鬼のおしごと』が出した答えは、ほとんど空前絶後だと思います。

ファンタジック・コメディという初期のコンセプトからは、随分と遠いところに来てしまった本作。
その衝撃の結末とは!? 

……しかし見方によっては、この六巻で物語としては完結しており、七巻は長いエピローグに過ぎないとも言えます。
ひたすら「現実的に」、安易なご都合主義へと「逃げない」ことを貫いた本作の行き着く先は、
雪村舞というキャラクターが物語から失われた時点で、すでに定まっていたに違いないからです。

テーマ : 小説
ジャンル : アダルト

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